「高校の授業料が実質無償になる」と話題を呼んだ「高等学校等就学支援金制度」。
一方で「私立高校の授業料も全額無償化されるの?」「高専は対象?」「誰でも支給してもらえるの?」とさまざまな疑問を抱いている人も多いでしょう。
この記事では、高等学校等就学支援金制度について、私立高校(全日制)と公立高校を例にした具体的な支給内容や、手続きの方法などを紹介していきます。
授業料が実質無償になる!「高等学校等就学支援金制度」の概要
高等学校等就学支援金制度とは、教育にかかる経済的な負担を軽減し、教育を受ける機会の均等を目的に定められたものです。
対象は、日本国内に住所を有し、高専・高等専修学校などを含む高校に在学する生徒が対象で、通う学校の国公私立は問いません。
所得制限はあるものの、全国の約8割にもおよぶ生徒が利用しています。
「高等学校等就学支援金制度」の所得要件とは
「高等学校等就学支援金制度」の支給には所得要件があり、保護者の世帯所得について
「課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除の額」
の算定式で算出した額が30万4200円以上の場合は対象外です。
具体的にどれぐらいの年収の人が対象になるかについては、扶養控除などの対象となる家族の人数によって違いがあるため一概には言えません。
両親、高校生、中学生の4人家族構成で、両親のどちらかが働いているケースでは、支給対象となる年収の目安は910万円未満と考えればよいでしょう。
同じ条件で両親が共働きの場合、支給を受けるための世帯年収の目安は、約950万円未満となります。
「高等学校等就学支援金制度」で国公立高校の月額の支払いはどうなる
国公立高校に通っている生徒が高等学校等就学支援金制度を利用する場合、
「課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除の額」の算定式で算出した額が30万4200円未満であれば
年額11万8800円(月額9900円)が支給されます。
国公立高校の授業料の月額は9900円なので、授業料が実質無償化になるというわけです。
支援金は保護者に振り込まれるのではなく、国から都道府県を通じて学校に振り込まれたうえで授業料に充てられます。
学費を銀行引き落としにしている場合、保護者に対する授業料の請求はなくなり、修学旅行の積立金や学校納付金など、その他の学費のみが引き落とされます。
「高等学校等就学支援金制度」で私立高校の月額の支払いはどうなる
私立高校に通っている生徒が高等学校等就学支援金制度を利用する場合、所得要件の段階が2つになります。
1つ目は「課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除の額」の算定式で算出した額が15万4500円未満であれば、全日制の場合、年額39万6000円(月額3万3000円)が支給されるというもの。
通信制であれば、29万7000円(月額2万4750円)です。
2つ目は、国公立高校同様、算定式で算出した額が30万4200円未満であれば、年額11万8800円(月額9900円)が支給されるというものです。
私立高校の場合、15万4500円以上30万4200円未満の人が年額11万8800円支給の対象となります。
令和2年4月から私立高校に通う生徒への就学支援金が拡充され、全日制では最高29万7000円だった支援額が一律39万6000円に引き上げられています。
たとえば、両親、高校生、中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合、年額39万6000円が支給される年収の目安は590万円未満です。
申請方法はいつ、どうやって行う?
高等学校等就学支援金制度の最初の申請は、入学時の4月に行います。
学校からの案内に従って、申請書類やマイナンバー関連書類を提出し、書類をもとに都道府県が受給資格を認定。
在校後は、所得情報が更新される毎年7月に同様に申請します。
最初にマイナンバーを提出していれば更新時に再提出する必要はありません。
入学時に受給資格がないと認定されても、その後の更新時に所得状況が変化しており、対象となるケースもあります。
また、申請手続きは「高等学校等就学支援金オンライン申請システムe-Shien」でも行うことが可能です。
まとめ
高等学校等就学支援金制度は、全国の約8割の生徒が受給している制度です。
令和2年の拡充により、私立高校でも授業料実質無償化の対象となるケースが増え、経済的負担のために進路が制限されていた生徒にとって選択肢を大きく広げるきっかけとなりました。
受給のための申請は毎年行う必要があります。学校からの案内に従って忘れずに手続きするようにしましょう。